次会う時は故人さま。葬儀屋さんの複雑な胸中
お客様とのご縁を大事にしたい方、手を挙げて!
はい かなふく鈴木です。
お葬式は人生の中で最も大切な一大イベント。だからこそ、葬儀屋さんは喪主さまやご遺族さまとのつながりをとても大切にします。
でもお葬式って、一度終えてしまうと次に行うのは数年後、あるいは十年以上先になるのが常なんです。
だから、「お客様と次にお会いする時は故人さまとして」ということが少なくありません
葬儀屋さんの複雑な胸中について綴りたいと思います
マシンガントークのおばちゃま
十年近く前にお葬式のお手伝いをさせていただいた田中さん(仮名)。その時はご主人を亡くされて、奥様が喪主を務めました。
奥様はとってもパワフルなおばちゃま。言いたいことを矢継ぎ早に言って来てぼくを困らせるのですが、どこか愛嬌とかわいらしさがあって、とっても大好きなお客様なのです
お葬式のあともなにかあっては電話を下さる田中さま。こちらが忙しい時もお構いなしにいろんなことを話してくるし、同じことを2回3回と繰り返すし、「忙しいのにな〜」と、正直、こちら側の対応もぞんざいになってしまうこともありました
それでもこうしてぼくに電話してくるということは、ぼくのことを信頼して下さっているからに違いないですよね。スマホの通話ボタンを押して、田中さんの声を受け止めていました。
そんなある日、田中さんから一本の電話をいただきました。
「わたし、ガンになっちゃったのよ」
「え?」
「わたしにもしものことがあった時は、息子に全部伝えてあるから。お葬式は信頼できる鈴木さんという方に任せなさいと伝えているから」
いつもと同じ、明るく、そしてマシンガンのように繰り出される田中さんのことば。
「そんなこと言わないで田中さん、人生100年時代じゃないですか」と笑って応えたものの、信頼してもらうことの嬉しさと、田中さんの命がそう長くないことの悲しさが入り混じるこの気持ちは、なんともことばにしがたいものがあります。
お客さま 次会う時は 故人さま
この五七五。悲哀を込めて綴りました。
葬儀屋さんですから、お葬式のご依頼いただくのはとってもありがたいこと。リピーターになって下さるというのは、前回のぼくのお仕事を評価して下さったということです
でも、ぼくたちが扱うサービスはお葬式。前の喪主さまが次は故人さまというのは、よくあることなんです。
お葬式って日常的なものではなくて、非日常な、人生で一度しかないイベントです。だからどんなにお客さまと仲良くなっても、訪問営業やルート営業のように、頻繁にお客様に会いに行くことってなかなかできません。
ぼくみたいなワンオペ葬儀社じゃなくて、大きな葬儀社だったら、施工チームと営業チームとに別れて定期的なアフター訪問ができるかもしれません。でも、ぼくが望んでいるのは、LTV(顧客生涯価値)みたいなビジネス的な考え方よりもむしろ、人と人とのつながりのようなものなんです。それをなかなか継続的に築きにくいのが残念です。
田中さんは、ぼくのとっても大事なお客様。電話でたくさん話しましたが、直接お会いすることは、ご主人のお葬式以来一度もなかったのです。
ホスピスに会いに行く
夫婦で葬儀屋さんを切り盛りしているので、毎日目の前の仕事をこなすことに精一杯です。
たとえお客様が終末期に入り、余命いくばくかの状況にあっても、お見舞いに行くことなんて、ほとんどありません。
でも、息子さんから「母の先が長くない。ホスピスに入所しているんです」との電話をいただいたとき、ぼくはたまらずお見舞いに行きました。葬儀屋さんが病院にお見舞いに行くなんて縁起でもないと感じるかもしれませんが、ぼくは葬儀屋さんである前にひとりの人間です。どうしても最後に田中さんに会いたかった。
ベッドの上の田中さんはだいぶ弱っていました。葬儀屋さんのぼくが来るということは、いやでも自身の死期を意識せざるを得ません。それでもぼくの顔を見ると、田中さんは笑顔になって、ぼくの手を握ってくれました
お葬式のあと、息子さんがぼくにこう話しかけてくれました。
「母の家にはたくさんのメモ書きがあって、鈴木さんのことを心底信頼しているのだと分かりました。そして自分が喪主を経験して、母が鈴木さんを慕っていた意味がよく分かりました。本当にありがとうございました」
こんなに嬉しくて、悲しいほめ言葉はありません。でも、葬儀屋さんという仕事は、本当に因果なものだだと思います。心のモヤモヤがなかなか晴れません。
ぼくがブログやYouTubeを続ける理由
葬儀屋さんがお客様と再会する時、多くのお客様は故人さまとなっています。
故人さまとなったお姿を見ると「あの時はとってもお世話になったな」「もっと話したかったな」「もっと会いたかったな」という想いが去来します。
ぼくがブログやYouTubeを続けている理由の一つは、お世話になったお客様に、「鈴木は元気にやっていますよー」ということを伝えるためでもあります
すべてのお客様がぼくのことをフォローしてくれているわけではありません。でも、ぼくから一方的に元気な姿を発信して、たとえ少数でも何人かの方にひっかかってくれれば、それでOKなんです。
葬儀屋さんの醍醐味は、ご遺族さまと心を一つにして、故人さまの安寧を祈ることです。そのつながりを少しでも大事にしているからこそ、ぼくはブログやYouTubeをこれからも続けてまいります
本日も最後までお読み頂き誠にありがとうございました
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葬儀のかなふく 株式会社神奈川福祉葬祭
代表取締役 鈴木隆