失敗から学ぶ葬儀の心:お客様が教えてくれたこと
はい皆様こんにちは
神奈川福祉葬祭(葬儀のかなふく)の鈴木隆です。
葬儀業界に入って18年が経ちました
この仕事に携わる中で、たくさんの感謝のことばをいただく一方、忘れられない失敗もたくさん経験してきました。
プロとしての誇りを持ちながらも、失敗のたびに大切なことを学び、その経験がいまの自分を作っていると実感しています
今回は、特に印象に残っている2つの失敗と、そこから学んだことについてお話ししたいと思います。
お身体が棺に入らない
葬儀業界に入って間もない頃のことです。自宅安置を終えた故人さまにドライアイスを当て、胸の上で合掌をしていただきました。
その際、肘が少し身体の外に出ていたのですが、深く考えずそのままドライアイスのお手当を継続してしまいました。
ところが、納棺の際、その状態でお身体が硬直したため、棺にうまくお身体を納めることができなくなってしまったのです。
喪主さま(故人さまのご主人さま)はひどく泣かれ、「あんたプロだろ」と厳しいお叱りを受けました。
その怒りは、奥様を愛されていたゆえです。事がうまく運ばないことで心が深く傷つき、それが怒りと涙となってあふれ出たのだと思います。
いま思い出しても、本当に申し訳ない想いです。
巾広の棺を用意して対応しようと思っていたのですが、幸いにも先輩社員が機転を利かせてくれました。
故人さまの腕を体育の授業で言う所の『前にならえ』の様に前に突き出すようにすることで、体の幅が狭くなり、うまく棺に納めることができたのです。
それでも、喪主さまの涙とお叱りのことばは、今でも胸に刺さっています。思い出すたびに胸が痛みますが、これを教訓に、「次は絶対に同じ失敗を繰り返さない」と心に誓いました。
弔電を勝手に開けてしまった
弔電とは、喪主さまに贈られるお悔やみの電報です。ある日、会場に届いた弔電をいつものように開封し、祭壇前にお供えしていました。
それが慣例であり、当然の手順だと思っていました。
ところが、葬儀後にお客様から激しい怒りをぶつけられました。「その弔電は、あなたに贈られたものなのか?違うでしょう。なぜ勝手に開けたりしたのだ」と。
その瞬間、自分の慣れと常識が、喪主さまにとってどれだけ失礼だったかを痛感しました。
本来、弔電は故人さまや喪主さまへ贈られるもの。葬儀社が勝手に開けてしまうのは、たしかに非常識です。
たとえ慣例であったとしても、「こちらで開けて、祭壇にお供えしてもよろしいですか?」と事前に確認すべきでした。
この失敗をきっかけに、「慣れのこわさ」に意識を向けるようになりました。
ぼくたち葬儀社側が「当たり前だ」と思っていることよりも、お客様目線に立って物事を見ることの大切さを痛感したからです。
どんなに慣れた仕事でも、「当然」を疑い、一つひとつ丁寧に確認することが大切なのです。
満足度99%でも、残りの1%から学ぶこと
ぼくたち葬儀社の仕事は、上司や先輩から学ぶことが多いです。しかし、最も大切な答えは、お客様の中にあります
お客様のことばや想いを真摯に受け止めることで、ぼくたちは成長することができます。
お葬式は人生で最も大切なイベントです。プロとして失敗は許されないと分かっていても、その現場で失敗してしまうこともあります。
その失敗は喪主さまにとって今でも心苦しいものかもしれません。本当に申し訳なく思います。いま謝ったとしても、決して許してもらえないかもしれません。
ぼくができるのは、その失敗を糧にして次の仕事に活かすことだけです。
そして、いただいたお叱りを「ご恩」として受け止め、それを次のお客様にお返しする「恩送り」を続けることです。この積み重ねが、今のぼくの仕事を支えています
おかげさまで、お客様満足度99%という数字を継続更新させていただいています。しかし、それは残りの1パーセントの「不満足」があってこそのものです。
この1パーセントのお客様へのお詫びと感謝の想いは、常に持ち続けます。
仏教に学ぶ懺悔と感謝
最後に、仏教の懺悔文という短いお経を紹介します。
我昔所造諸悪業
皆由無始貪瞋痴
従身口意之所生
一切我今皆懺悔
ぼくなりの解釈は、次の通りです。
「わたしがこれまで行ってきた過ちをいまここで悔い改めます。そして、それでもいまここにこうして生かされていることに感謝し、目の前の人の喜びのために、この命を使わせていただきます。」
失敗は誰にでもあります。その失敗をどう受け止め、次に活かすかが大事だと、このお経を読むたびに思います。
そして、これからもお客様に寄り添う仕事を続けていきたいと思います
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
葬儀に関するご質問やご相談がございましたら、どうぞお気軽にお電話ください。
【フリーダイヤル 0120-82-0333】
葬儀のかなふく( 株式会社神奈川福祉葬祭)
代表取締役 鈴木隆