お布施の『お気持ち』問題についてまじめに考える
こんにちは
今日はいつも以上に真面目に語ります。かなふく鈴木です
葬儀や法事で悩んでしまうのが、お布施。
金額は? タイミングは? 袋は? 袱紗は? 表書きは? などと、お布施のマナーに関する問い合わせをとても多くいただきます
そうした細かいマナーについてはインターネット上でたくさんの情報が出回っているので、そちらにお譲りするとして、この記事では お布施の本質についてズズズイっと迫ってみたいと思います
「そもそもお布施って何?」
「どうして「布」の「施」と書くの?」
「『お気持ちで』と言われるけど、金額はどうやって決めるべきなの?」
…などなど、すぐに答えは出ないけど、じっくりと深く考えていただくための記事になると思います。
故人さまをしっかりと送り出したい、きちんと供養したいとまじめに考えておられる方には、きっと”刺さる”記事になるはずです
どうぞ最後まで読み進めてみてください
お布施は、執着を手放すための修行
まずは、お布施ということばの意味の本質に立ち返りますね
お布施とは、仏教の修行のうちのひとつで、「分け与える」という意味です。
自分が持っている持ち物、お金などを他人のために分け与えることを「財施」、自分だけが知っている素晴らしい知恵やアイデアを周囲にシェアすることを「法施」、不安や恐怖に苛まれる人に寄り添うことを「無畏施」と呼びます。
これらはそれぞれ「自分のお金や持ち物を分け与える」「自分の知恵を分け与える」「自分の時間や心を分け与える」とも言い換えられます。
仏教では、苦しみからの解放を目指しています。そのためには執着を解き放ち、自身が所有するものを手放していくことを大事だと考えます
「この1万円はオレのもの。何買おうかな、ゲへへ…」
と、お金をひとり占めする人よりも、
「この1万円の内、5千円はみんなのためにバニラアイスを買って、みんなで楽しい時間を過ごそう」
と、考える方が、自分自身も、そしてまわりにいる人たちも、多幸感が増しますよね
布施とは、まさに執着を手放すことを自然に行うための修行なのです。
ちなみに、古代では布はとても高価なもので、布を修行僧に施し、たくさんの方からいただいた布を継ぎはぎにして法衣を作ることが、功徳を積むこととされていたそうです。だから「布」の「施」と書くのです。
お布施はどうして『お気持ち』?定額制が引き起こす問題
こう考えてみると、お布施とは、誰かに「あなたはこれだけのお金を差し出しなさい」と指示されるものではなく、自分自身の内面が決めるものだということが分かります
数年前に、大手スーパーのイオンや、ネット通販のAmazonが、お坊さんの派遣サービスを始め、お布施を定額にしたことが大問題となったことがありました(仏教界や葬儀界においての話です)
現代の資本主義社会では、全てのものに価格が付けられ、私たちはそれを当たり前だと思っています
それはいわば、社会が決めた価格に従うことを意味します。だから、楽なのです
「お坊さんにお布施の金額を聞いても『お気持ちで』としか言ってくれない。本当に困る」
こんな声をよく聞きますが、しかし資本主義よりもはるか昔からある仏教のロジックでは、お布施に定価なんてありません。
なぜなら施す側の『お気持ち』に委ねられるべきものだからです
定額制を推し進めると、そもそもの仏教の意義そのものが、根幹から揺らいでしまいますし、定額制にはない『お気持ち』だからこそのメリットもあります
『お気持ち』であるならば、お金がある方はあるなりに、ない方はないなりに、お金を包めばよいのです。
本当に生活に困窮していてお金がない方に、非情にも「定額50万円です」と言い放ってしまったら、この方のお葬式はどうなってしまうのでしょうか
「お気持ちで」とするお布施は、その人の身丈に照らし合わせて包まれるべきものです
お金がない人はないなりの精一杯のお布施をすればいいですし、お金の多寡に関わらず、お坊さんは平等に供養をして下さいます。
『お気持ちで』という考え方だからこそ、弱者救済ができるという側面も、見逃せません。
故人の供養のために、どれだけのお金を差し出せますか?
もちろん、お布施を差し出す相手のお坊さんの資質によって、お布施の価値は大きく変わるものです
「このお坊さんだったら心強い。お布施も大事に使ってくれそう」
「このお坊さんは頼りない。高額なお布施が無駄に感じられる」
このあたりは、お坊さん側のがんばりに期待したいところです
怒られることを覚悟して言いますが、正直お坊さんって、玉石混交です
素晴らしいお坊さんもいれば、物足りないお坊さんもいます
世のお坊さん方にはお布施を頂くだけの価値ある弔いをしてほしいと切に願います
そしてご家族の方には、ただただ「安く」「楽に」を追い求めるのではなく、大切な家族のお葬式に、どれだけ自分の持ち物を手放すことができるかを、しっかりと、自身の心を見つめてほしいと思います。
大事な方との食事にはいいレストランを予約する。。。
せっかくの旅行なのでいい宿を予約する。。。
お葬式も一緒です。
お金をかけたお買い物は総じて満足度が向上する傾向にあります
そしてそのお金が無駄に感じられないよう、われわれ葬儀屋さんは、さらにレベルアップを図って、お客様に安心してお任せしていただけるようにならなければなりません。
そのことを今日も肝に銘じながら、かなふく鈴木は日々精進(←これも仏教の修行のうちのひとつ)して参ります
本日も最後までお読み頂き誠にありがとうございました 。
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葬儀のかなふく 株式会社神奈川福祉葬祭
代表取締役 鈴木隆