昔のお葬式はどのように行われていた?お葬式今昔物語
好きな四字熟語は温故知新
皆様こんにちは かなふく鈴木です。
お葬式のかたちって、時代とともに移り変わっています
いまでこそ、葬儀会館での家族葬が主流ですが、ひと昔前は自宅で葬儀、さらにひと昔前は野辺送りが当たり前だったりしました(野辺送りについてはのちほど解説いたします!)。
一方で、未来が見えない世の中で、これからの世界はどうなるのかなとあれこれ考えてしまうものです
お葬式の場合、簡素化がもっと進むのか? メタバース空間でお葬式が営まれるのか?
未来を知るには過去を見よ。古きを知るが新しきを知る。ということで、この記事では昔のお葬式がどのように行われていたのかをご紹介いたします。
「通夜」夜通し故人と連れそう
通夜とは、葬儀告別式の前夜の式典のことですが、かつては、夜通し故人さまに付き添うことを指していました
地域によっては、故人さまと添い寝をして一晩過ごしたり、村人が集まって念仏やご詠歌(西国三十三か所や四国八十八か所の札所を讃える歌)を称えたりしたそうですね。
通夜で行われることと言えば「寝ずの番」
夜通しお線香を守る遺族たちに対して、親族や近所の人たちからは食べ物や飲み物が贈られました
これを「通夜見舞」や「夜伽見舞」などと呼び、いまでも東海地方の一部地域で見られるしきたりです。
以前かなふくのブログでは、中島らもさんの小説『寝ずの番』を取り上げましたが、夜通し故人さまに寄り添い、思い出話にふける時間って、故人さまを偲ぶには本当に大切な時間です。
近年はお通夜をしない一日葬が増えつつありますが、個人的には通夜文化は未来も残り続けてほしいなあと、感じています。
「野辺送り」霊柩車が生まれる前の出棺の様子
いまでこそ、葬儀会館で葬儀を終えたあと、霊柩車に乗せて故人さまを火葬場まで運ぶのが当たり前となっています。
しかし、車がない時代、そして火葬場がない時代は、「葬列」を組んで、故人さまを埋葬地まで歩いて運びました。これが「野辺送り」です
いまの日本は99.99%の方が火葬にされていますが、100年前まで時を逆戻りさせると、土葬の方が多いという時代が長く続いていました。
そんな時代のお葬式では、自宅での読経よりも、村の中を埋葬地まで歩いていく野辺送りこそがメインイベントだったように思います
野辺送りは、親族や地域の人たちが列を組んで、大名行列のように埋葬地まで歩きます。
葬列を組む人たちにはそれぞれ役割や持ち物が決まっています。地域差はあるものの、一般的には次のような順に並びます。
〇高張提灯
高く掲げられた提灯が、道を明るく照らします。
〇寺の幟
寺院名の書かれた幟(旗)を高々と掲げます。
〇龍頭(たつがしら)
竹竿の先に上り龍と下り龍をあしらいます。
〇花籠
棒の先に花飾りをつけた籠を掲げます。
〇花環
輪っか状にあしらわれた花。施主名を示します。
〇シカ花
お釈迦様が入定される際の「沙羅双樹」と見立てたもの。いまでも見られる葬具の一つです。
〇線香
線香を焚きながら埋葬地まで歩きます。
〇写真
故人さまの遺影写真を持ちます。
〇お供え物
団子、一杯飯、お膳、果物、菓子、落雁などを複数人で分けて持ちます。
〇位牌
喪主が位牌を持ちます。
〇寝棺
手伝いの男性たちが故人さまの入る棺を運びます。白い晒布を棺に巻き、それを伸ばして、あとに続く人がつかまって歩きます。
埋葬地に到着すると、再び僧侶による読経があり、そして土の中に埋葬されます。そのため数名の村人が先回りして、お墓の穴を掘っておきます。
映画「お葬式」と「おくりびと」
夜通し営まれる通夜や、野辺送りなどは、社会が成熟していくことによって姿を消していきました
戦後日本では、お葬式の場所はどんどん葬儀会館になっていきましたし、地域全体で行われていたお葬式も、家族化、個人化が進みます。
時代の流れにあわせて変わるお葬式。
この変化を知るには、2つの映画を見比べるのが一番です。
伊丹十三監督の『お葬式』と、滝田洋二郎監督の『おくりびと』です。
バブル期の昭和のお葬式と、バブル崩壊後の平成のお葬式の特徴を、それぞれが見事に描いています
前者は地域のしきたりが残るお葬式文化と、都市で生活した者の地域習慣への無知と戸惑いが見事にシンクロして、主演の山崎勉さんの困惑ぶりが印象的です。
この映画では葬儀屋さんやお坊さんもいかがわしい存在として描かれます
一方で、家族とのきずなを印象的に描いたのが『おくりびと』です
『お葬式』では、奢侈な祭壇や豪華なおもてなし料理が描かれていたのに対し、『おくりびと』は、納棺を主要な題材にします。
いわば、故人さまと遺された家族とのつながりにテーマをしぼったのです。お金をかけない、アットホームな家族葬全盛の世相を見事に反映していると言えるでしょう
時代はさらに個人化していくと言われてますが、一方で、「多死社会」とも呼ばれ、私たちのまわりでもたくさんの死、葬儀が起きています。
こうした一つひとつに丁寧に向き合うことが、自身の人生や生活を豊かにするものと、かなふく鈴木は考えます
~温故知新~ これからも、葬儀の歴史や伝統を学びつつ、いまの、そして未来のあるべき葬儀の姿について考えを巡らせて参ります。
本日も最後までお読み頂き誠にありがとうございました
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葬儀のかなふく 株式会社神奈川福祉葬祭
代表取締役 鈴木隆