読経中、あなたは何を考えますか?
皆様こんにちは
よくぼんやりと物思いに沈む、かなふく鈴木です。
お葬式や法事のとき、お坊さんが故人さまに向けてお経を読みますが、背後にいる私たちはなにをしていればいいのでしょうか
心を込めてお祈りをする方、手を合わせる方、でも、何を考えればいいのか分からない、何となく時間が過ぎ去っていくという方も、きっと少なくないのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、読経中に私たちが感じること、考えることについて、思いを馳せてみたいと思います。
お経は、故人さまのため、私たちのため
お経とは、お釈迦さまが説かれた教えをまとめたもののことです
ですから、「お経=故人の成仏のための呪文」というわけではないのです。
お釈迦さま自身は、死後の世界や霊力について言及するような人ではなく、むしろ自身の中にある苦しみの源泉(=煩悩)に気づき、そこからいかに解き放たれるかを探求し、その方法を人々に教えていかれた方だと言われています
一方で、お経にはたくさんの仏さまのありがたい功徳について書かれています。
これらには、生きている人も亡き人も、仏さまを信じて拝むことで苦しみから解き放たれるといった旨が説かれているのも事実です
インドで始まった仏教は、チベット、中国、朝鮮、日本、東南アジアなど、さまざまな地域に伝播し、時代を超えてたくさんのお経が生まれています。
その中には、人間の真理に向き合った哲学的なものもあれば、人智を超えた仏さまによるドラマティックなストーリー仕立てのものもあります
たとえば、日本でよく読まれている『般若心経』には、「この世界にある一切のものは空である」と、哲学的な内容がわずかなことばでまとめてられており、仏さまの功徳や救済については一切書かれていません。
一方で、こちらも日本で人気の『法華経』の中にある「観音経」には、「観音さま」で親しまれている観世音菩薩のさまざまな功徳が書かれています。
観音さまを拝むことで、こちらを襲ってくる刀はバラバラに壊れ、ヘビやサソリもいなくなり、雷や雹もすぐに止む、などなど。
「本当かよ 」と思わずツッコみたくなる人もいるでしょうが、しかしこうしたストーリーを通じて、人々は仏さまに救いを求め、自らも正しく生きようとしたのです
哲学的であれ、ストーリー的であれ、これらのお経が含む教えは、さまざまな時代や地域で人々の信仰を集めてきました。
やがてお経そのものに、死の恐怖をも和らげてくれる霊力のようなものが働くのだと考えられ、いまのように、お葬式の場でお経が読まれるようになったのでしょう。
何を言ってるか分からないのがいい
ところで、お坊さんのお経って、何を言っているか分からないですよね
でも、案外それがいいのではないかと思っています
というのも、お葬式は、この世界からまもなく肉体を消滅させる方との最期のお別れの儀式です。
話し合うことも、触れ合うこともできなくなった故人さまにアクセスするのは、心の奥底でつながりあう、いわば精神的な営みへと移っていきます。
つまり、頭で考えるのではなく、心で感じる領域に入っていったといってよいでしょう
だからこそ、BGMのように聴こえるお経に価値があるのではないでしょうか。
お坊さんの厳かな声、独特の節回し、木魚による一定のリズムなど、祈りの専門家である僧侶が千年も続く儀式を故人さまに手向けてくれているから、ぼくたちは安心して故人さまのことを考えていられるのです
もしもこれが和訳されている文章だと、頭で意味を追いかけようとしてしまいます。
意味を知りたいと思ったら、あとからいくらでも調べられます。
お葬式の時は、故人さまとの思い出や、あふれる悲しみに全身で向き合い、「いのち」を感じられたら、それで充分なのではないでしょうか。
読経中、あなたは何を考えますか?
お坊さんがお経を読み上げている時、あなたは何を考えますか?
「お父さん、きちんと成仏してくれるかな?」
「淋しい想いをしていないかな?」
「あの時の旅行、楽しかったな」
「遺されたお母さんが不憫だわ」
「長く続いた介護生活。ようやく解放されて、正直ほっとしている」
「人って、いつかは死んじゃうんだな」
「お父さんが亡くなったって、実感が全くない」
…などなど、本当にいろんなことが頭をよぎるのだと思います。
でも、こうしたことって、普段の生活の中では考えないですよね。
生きることに、稼ぐことに、食べることに必死で、毎日の生活って、基本的に目の前のことに追われる日々です
でも、お葬式のような場所に出向くと、普段考えないこと、生きることや死ぬことについて思いを巡らせます。
しかも、お坊さんのお経を頭で追いかけず、単に聞き流すだけでよいですし、場合によっては思考を停止してボーっとしていても構いません。
実際に、あまりに突然のことで、あまりの悲しみで、頭がボーっとしてしまう方も少なくありません
頭で考えるのではなく、故人さまの存在を全身で感じる。それをサポートしてくれるのが、お坊さんのお経なのかもしれませんね。
本日も最後までお読み頂き誠にありがとうございました
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葬儀のかなふく 株式会社神奈川福祉葬祭
代表取締役 鈴木隆