散る桜 残る桜も 散る桜
桜咲く
皆様こんにちは、かなふく鈴木です
日本人が愛する花と言えば桜ですよね。1年のうちにわずか数週間しか花を開きませんが、日本中の人たちがお花見に出かけ、心を華やかにさせて、春の訪れを喜びます
一方で、桜は世の中の無常の象徴としても語られてきました。「散る桜 残る桜も 散る桜」とは、江戸時代を生きた曹洞宗の僧侶・良寛の辞世の句ですが、かなふく鈴木はこのことばが大好きです
この記事では、桜から見える日本人の死生観について綴って参ります。
桜は散り際が美しい
天気予報なんかで、桜の開花予想なんかを見てますと
「まだまだこのへんは2分咲きだね~」
「満開の予想は週末くらいだね」
「せっかく満開になっても来週は雨だわ」
…なんて感じで、満開の桜が咲き誇る姿を思い浮かべる人が多いように思います。
春の到来は待ち遠しいですし、桜はその象徴です。そりゃ誰だって、冬の寒い日に家の中で縮こまって過ごすより、春のあたたかな日差しの中で「うひゃひゃー」って青空の下を駆け回りたいですよね
でも一方で、「桜は散り際が美しい」なんてことも言われます
桜吹雪はもちろん美しいですし、満開からわずか1週間程度で散り始める桜を見て、ぼくたち日本人は世の無常の理(ことわり)を肌で感じたりするものです。
咲き誇る花もいつかは散る。この世に生きる生き物もいつかは死んでなくなる。
自然と共に生きてきた日本人は、あらゆるものは移ろっていくという真理を大切にしながら生きてきました。そうやって、散るものの美学といったような価値観やカルチャーが作られていったのだと思います。
散る桜 残る桜も 散る桜
これは、江戸時代のお坊さんである良寛さんのことばです
良寛さんは、寺を持たず、諸国を遍歴し続けた僧侶として有名です。いつもニコニコして、禅のむずかしい教えを語ることもなく、清貧の中で生きる托鉢僧だったようです。
一方で、和歌や漢詩を詠むだけでなく、良寛さんの書は高い評価を受け、いまでもたくさんのファンがいます
そんな良寛さんの辞世の句。つまり亡くなる直前の最後の句が、この「散る桜 残る桜も 散る桜」なのです
このことばを、まもなく亡くなって行こうとする人が詠んでいるわけですから、この世に残されたわたしたちも、思わず「ぎくり」としてしまいますよね
当たり前すぎることですが、そのことを改めて思い出させます。つまり、桜はいつか散るし、人間はいつか死ぬ、ということを。
そして、良寛さんのすばらしいのは、桜を詠むことによって、散り際や死に際が美しいということを、語らずに語っている点です。散る桜が美しいのなら、亡くなっていく人の生き様や死に様もまた、美しい。そのことを、無言のうちに投げかけているのではないでしょうか。生涯ニコニコとおだやかに生きられたという良寛さんの魂の崇高さが感じられます。
お葬式は、美しい
散る桜を目の前にしてぼくたちは
「ああ、桜が散っているね」
「満開の季節も、あっという間に終わったね」
「でも、桜吹雪、きれいだね」
…と、無常さや切なさのなかに、美しさを感じてしまうものです
この世にあるすべてのものは、移ろい、散り、なくなっていき、そのさまもまた、美しい。
同じようなことが、お葬式でも言えると思うんです。
「お父さん、亡くなってしまったね」
「一生懸命に生きたのに、人の人生って、あっという間だね」
「でも、お父さん、かっこよかったよね」
…といった会話が交わされるのを、かなふく鈴木は葬儀の現場で何百、何千と見ています。
別れは悲しいものですけど、でも避けがたいものでもあります。それをどのように受け止めるかというところで、日本人はその散り際を美しいと感じるようになったのかもしれません。
そして、散る桜や亡き人は、その最後の姿をぼくたちに見せながら、「いつかはあなたもこうなるのだよ」ということを教えてくれます
ぼくたちも、いつかは亡くなっていく存在であるという大切なことを、時に桜が、時に亡き人が、教えてくれるのです。
故人さまを、泣いて、笑って、送り出す
桜には、花見がつきものですよね
ゴザを敷いて、食べ物や飲み物を広げて、桜を見ながらなんやかやと楽しい時間を過ごします。
そして、お葬式にも、飲食がつきものです
通夜のあと、葬儀のあと、食べ物や飲み物を広げて、故人さまについて偲びあう。
「故人さまとはあんなすてきな思い出があったよね」
「辛いけど、これからは、ぼくらが力を合わせてがんばろうね」
そんなことばを交わしながら、お互いに慰めあい、いたわりあうのです
最近のお葬式は、家族葬が多かったりもして、飲食そのものを省略する方も少なくありません。でも、お花見をすることで桜の美しさをより味わえるように、飲食をすることで故人さまをより深く偲べたりもするんです。
桜の季節です。桜を見上げながら、咲き誇る桜の美しさ、散っていく桜の無常さに思いを馳せてみて下さい。
そして、大切な亡き人と出かけた花見の思い出を蘇らせてみて下さい。あなたのその姿を、きっと故人さまは、良寛さんと同じように、ニコニコしながら、見守ってくれているはずです。
本日も最後までお読み頂き誠にありがとうございました
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葬儀のかなふく 株式会社神奈川福祉葬祭
代表取締役 鈴木隆