四苦八苦とは? お葬式が向き合う「愛別離苦」
こんにちは
かなふく鈴木です
「四苦八苦」ということばをご存じですか? 4つの苦しみに8つの苦しみ。しかもその語感からも、この世界が苦しみに包まれているような重い気分にさせられますが、今日はこの「四苦八苦」の意味するところについて考えてみたいと思います
四苦八苦とは
四苦八苦とは、「苦しみ」の本質を捉え、「苦しみ」を分類した仏教用語です。
仏教の開祖であるお釈迦さまは、この世界は苦しみに満ちていることを悟り、だからこそさまざまな苦しみに心を惑わされることのない境地を目指したと言われています。
そのためには、まずは「苦しみとはなにか」ということを認識しなくてはいけません
お釈迦さまは、人間にとっての苦しみを「思い通りにならないこと」と捉えたようです。たしかに生きていると、思い通りにいかないこと、ありますよね
「天気予報では晴れだったのに、雨じゃん!」
「あの人のこと愛してるのに、全然振り向いてくれない!」
「株価が下落したー」
「50歳を超えて、身体の衰えを感じてきた」
「病気になって、したいこともできない」
…などなど、この世界は、思い通りに行かないこと(=苦しみ)に満ちています
お釈迦さまは、こうしたさまざま苦しみに惑わされないように、まずは苦しみがどういう性質を持つのかを、正しく見定めたのですね。すごいっ!
四苦八苦には、はじめに根本的な4つの苦しみ「四苦」が並びます。
- 生苦 生まれる苦しみ。生きることの苦しみ。
- 老苦 老いていく苦しみ
- 病苦 病に冒される苦しみ
- 死苦 自身の死の苦しみ。大切な人との死別の苦しみ。
これらをまとめて「生老病死」なんて言います。
この四苦に、さらに次の4つの苦しみを加えます。
- 愛別離苦(あいべつりく)愛する者と別れる苦しみ
- 怨憎会苦(おんぞうえく)怨み憎む相手と会う苦しみ
- 求不得苦(ぐふとくく)求める物が得られない苦しみ
- 五蘊盛苦(ごうんじょうく)五蘊(肉体と精神)が思うがままにならない苦しみ
こうしてみると、ぼくたちの日々の生活は、本当に苦しみに満ちてることが分かります
その中でも「愛別離苦」の苦しみを和らげるためにあるのが、お葬式ではないでしょうか。
愛別離苦。愛する者と別れる苦しみ
大切な人との別れは、本当に辛いものがあります。その人がかけがえのない相手であればあるほど、喪失は、自身の一部を失うほど痛く、苦しいものです。
でも、人は必ず死んで亡くなってしまいますし、その方はもう二度と帰ってこない。受け入れがたいけどどうしようもないのが、死苦であり、愛別離苦です。
仏教が、苦しみとの向き合い方を説いているのであれば、この死の苦しみ、大切な人との別れの苦しみは、避けては通れない大切な問題です
苦しみと向き合うためのお葬式
お葬式とは、遺された人たちが苦しみと真正面から向き合うための儀式ではないかと感じています。
人が亡くなるのは自然なことです。それ自体は、だれにも平等に訪れる自然の摂理の1つに過ぎません
でも、大切な方への愛着や執着があればあるほど、その自然の摂理も受け入れがたいものになってしまいます。
ここで、仏教の教えがぼくたちの支えとなってくれます。
たとえば、禅宗(臨済宗や曹洞宗)的な向き合い方であれば、「生きることも死ぬことも、すべては自然のこと。ありのままの事実を受け入れよう」ということになります。咲き誇る花もいつかは枯れる。この世に生きた人もいつかは死ぬ。それは自然なことであり、そのことに心を惑わされるのではないんだよ、というのが禅宗の目指すところです
また、浄土教(浄土宗や浄土真宗)では、死の問題はすべて阿弥陀如来さまが引き受けて下さるから、不安になることはないですよと説き、その阿弥陀如来さまに救ってもらうために「南無阿弥陀仏」の念仏を唱えることを推奨しています
これはどちらも正しくて、どちらもぼくたちの支えになる教えです
愛別離苦に苦しむ自身の心を見つめる禅宗、死の苦しみを託せる仏さまという存在を支えとする浄土教。流派こそ違えど、目指すところは死苦や愛別離苦を受け入れ、乗り越えることです
そして、実感として「あの人はもう帰ってこないんだ」「辛いけどがんばらなくては」という気持ちにさせる第一歩が、お葬式という儀式なんです。
お葬式にはたくさんの人が集まります。そして、いろいろな想いを胸に抱いています。
遺族「あなたを亡くしたのは悲しいけれど、しっかりと送り出すよ」
親戚「ともに悲しみ、ともに故人さまを送り出そうね」
友人「いつもそばにいるよ。力になるよ」
僧侶「故人さまをきちんと供養するから、安心してください」
葬儀社「お葬式は私たちがきちんとサポートするので、しっかりと故人さまに向き合ってください」
故人さまとご縁をつなぐ人たちが集まり、こうした声が交差する地点こそがお葬式です
死苦や愛別離苦は、自分ひとりではどうしようもできないほどのダメージをもたらせます。だからこそ、たくさんの人が集まって、みんなで悲しみを分かち合い、悼みあい、送り出すことが大事なんです。
それこそが、死苦や愛別離苦に対峙する、葬儀の大事な役割だと思います。
本日も最後までお読み頂き誠にありがとうございました
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