卒業式とお葬式に共通する「カイロスの時間」とは?

皆様こんにちは 葬儀のかなふく鈴木です。
3月は卒業シーズンですね 子どもたちは学び舎を巣立ち、新たな人生のステージへと進みます。
保護者としてその姿を見守りながら、わが子の成長を感じ、胸が熱くなる瞬間です。
かなふく鈴木も、ふたりの娘の卒業式に足を運びましたが、そのたびに「卒業式って、考えれば考えるほどお葬式に似ているな」と感じます
というか、お葬式は「人生の卒業式」と言えますよね
卒業式は子どもたちが学びを終えて次のステージへ旅立つ儀式。
お葬式は故人さまがこの世での命を全うし、次の世界へ旅立つ儀式。
人生の卒業式としてのお葬式。
今日はそんな視点から、お葬式の意味について考えてみたいと思います。
お坊さんからいただく戒名は”人生の卒業証書”
卒業式では、校長先生から卒業証書をいただきますよね
これは「あなたはこの学校での学びを修了し、次のステージへ進む準備が整いましたよ」という証です。
ただ校長先生からお墨付きをもらうだけでなく、それを、同級生、下級生、他の先生、保護者など、たくさんの人たちに見られている中で授与されるからこそ、「ああ、〇〇さんはこの学校を卒業するんだな」と、社会から承認されるわけです。
お葬式も同じですよね。お葬式における卒業証書とは、お坊さんから授かる「戒名」だと言えます
これは「あなたはこの人生での役目を終え、『〇〇〇〇信士(信女)』という新たな名前となって、次のステージへ進む準備ができましたよ」という証なのです。
特にお葬式の場合、卒業式とは異なり、「死別の悲しみ」という負の感情が溢れますし、死後という次のステージは、だれも見たことのない、行ったことのない、目に見えない世界です。
だからこそ、お坊さんによる…
「悲しいけれど、あなたが亡くなったという事実をみんなと一緒に受け入れましょう」
「あなたは必ず極楽浄土に往生できますよ」
…といったお墨付きが、これから旅立つ故人本人や、それを見守り送り出す家族、参列者たちを安心させるのだと思います。
最近では、お坊さんのいないお葬式もありますが、これも、家族みんなで故人さまを送り出すという意味では、充分立派な「人生の卒業式」だと言えるでしょう。

式の時間に流れる―「クロノス」と「カイロス」
卒業式やお葬式を「長いな〜」と感じたこと、ありますよね?
卒業式では、壇上で校長先生やPTA会長が、いろいろありがたい話をします。お葬式では、お坊さんの読経が延々続きます
それぞれ、思わず「ぼー」っとしてしまいますよね
でも、かなふく鈴木は、「この『ぼー』っとする時間が、結構大事なのでは?」と考えています。
わたしも2人の娘を送り出したものとして、小中高とそれぞれの卒業式に足を運びました。そして決まって「入学の時を想うと、大きくなったな~」と、わが子の成長をしみじみかみしめるものです。
つまりその瞬間、ぼくの中の時間が過去にタイムスリップしているんですよね
目の前で卒業証書の授与や校長先生の式辞が述べられている中、ぼくの頭の中では、幼かったころの娘との思い出、今目の前で卒業証書を受け取っている娘の姿、そしてこれからの娘の歩み道など、過去・現在・未来と、数十年の時間を行き来しているんです。
時間には、「クロノス」と「カイロス」という2つの概念があります。
■クロノスは、時計の針が刻む、均等に流れる時間。
■カイロスは、特別な意味を持つ、心が感じる時間。
卒業式やお葬式って、カイロスの時間を過ごすのに打ってつけなんです。
普段忙しいぼくたち現代人。隙間時間もスマホを開いて、そこからあふれるいろんな情報や広告を、ただ受け身になって浴びてしまいます。
現代人には「ぼー」っとする時間がないんですよね。そしてこの「ぼー」っとする時間がすごく大事なんです。
カイロスの時間を過ごすことで、普段の「時間に追われる生き方」から解放されます
今ここにいる自分をもっと大きな視点で捉え、もっと高い所やもっと深い所に、身を置くことができるんです。
そしてこのカイロスの過ごし方は、卒業式よりもお葬式の方がより顕著だと思います。なぜなら、お葬式は、ぼくたちが生まれる前から、亡くなったあとまでをも見通すこととなる、「命」に向き合う儀式だからです。
大切な方との最後のお別れの儀式。読経するお坊さんの背中、その先にある故人さまの遺影を「ぼー」っと眺めながら考えるのは、生前の故人さまの姿、一緒に過ごした思い出。
でも、思考は現世での故人さまとの思い出に留まらず、
「人はどうして生まれてくるのだろう」
「人は死んだらどうなるのだろうか」
…といった、命や哲学に関わる素朴な問いが生まれるのも、お葬式ならではのものです。
普段忙しいぼくたちは、そんなことを考える暇もありませんよね
でも、幸せに生きるために大切なことに向き合えるのが、お葬式なんです。

おわりに
卒業式も、お葬式も、ただの人生の節目の儀式としてだけではなく、ぼくたちを大らかな時間の中に身を置いてくれます。
卒業式では、子どもたちが学び舎を巣立ち、新たな道を歩み始めるのを見届けます。お葬式では、大切な人がこの世を卒業し、新しい世界へと旅立つのを見送ります。
どちらも、目の前の時間だけでなく、これまでの歩みや、これからの未来に思いを馳せる、特別な時間。「クロノス」ではなく、「カイロス」を生きる時間
忙しい日々の中で、「ぼー」っとしながら大切な人のことを思い出したり、自分自身の人生について考えたりする時間は、とても貴重なものです。
お葬式をただの儀式としてこなすのではなく、人生の節目として、大切な人との思い出を振り返る時間として過ごしてもらえたらと思います
人生の節目に、少しだけ立ち止まる時間を持つこと。それが、卒業式であり、お葬式なのかもしれません。そして、その時間こそが、私たちが人生をより深く味わうための「カイロスの時間」なのではないでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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葬儀のかなふく 株式会社神奈川福祉葬祭
代表取締役 鈴木隆